三重県南牟婁郡おける不動産売買の現況(2019・令和元年)
三重県南牟婁郡は御浜町と紀宝町からなり、熊野川を境界にして和歌山県と接する、三重県内でも南端に位置する郡となっています。このため紀伊半島の東部や北部にあたる四日市市や津市のような三重県内の中心都市との関わりよりも、圧倒的に隣接する和歌山県の新宮市などとの関わりのほうが深く、そのベッドタウンに類した新興住宅地の開発なども見られるところです。三重県南牟婁郡の不動産売買の現況ですが、地価公示ではバブル経済崩壊による地価下落の余波を受けて、一貫して平均単価の下落が続いており、不動産売買における実勢価格も同様の流れといえますが、逆に土地のみの売買件数を見ると、地価下落によって手頃な価格水準となったことから意外と活発なようすがうかがえます。国土交通省の公表によれば、三重県南牟婁郡全体では年間の土地取引は100件近くにのぼり、そのほとんどは紀宝町分となっています。標準的な宅地であれば平米単価は3万円程度で、鵜殿駅から15分程度の範囲の土地が人気となっています。これに対して土地付き建物のほうは不動産売買件数としてはそれほど多くはなく、郡全体でも20件に満たない程度です。特に新築から30年以上経過した中古住宅が目立ち、取引価格は300万円台から400万円台が最も出現頻度が高い価格帯となっています。いっぽうで新築であれば土地建物あわせて2000万円台から4000万円台という実例もあり、今後の紀勢自動車道開通などの効果もあわせて注目されるエリアです。ただし同じ郡内でもより新宮市に近い紀宝町とは異なり、御浜町のほうは現況ではそれほど不動産売買が活発とまではいえず、温度差があるのも事実といえます。このため御浜町では行政が空き家バンクの制度を導入しており、空き家改修支援事業による補助とあわせて、定住人口の拡大を図っています。登録されている物件はかならずしも売買のみを前提とはしておらず、賃貸と売買の両方の形態で募集をしているものもみられます。