不動産業とオリンピックの関係
オリンピックは開催地やその周辺に大きな経済効果をもたらします。激しい招致合戦の裏にはそのような背景があるのですが、どれだけのプラス効果があるのかは業界によってさまざまです。そのなかでも特に大きく関係している業界として不動産業が挙げられます。オリンピックの候補地となっただけでも変化が生じ始めますが、開催地に決定すると地価の上昇が起こるのが一般的です。メインの競技が行われる場所では、地価の上昇を後押しする要因がたくさんあります。
たとえば、土地の希少価値が一気に高まることもその一つです。競技場を設立したりインフラを整えたりするために、多くの土地が使われることになります。その結果、あまっている土地がほとんどなくなり、必然的に地価は上がっていくことになるのです。また、会場の付近ではいろいろな需要が増えることも大きな要因となっています。開催期間中に宿泊客が増えるのはもちろんですし、食料品をはじめとしていろいろな物の売れ行きが伸びると予想されます。したがって、開催前からビジネスチャンスを狙って多くの人が集まってくるので、早い段階から経済効果が生じることも珍しくありません。もちろん、それに伴って地価も上昇することになります。賃貸物件のニーズが高まって、それまでより遥かに高い家賃水準になることも多いです。
人が少なくて不人気だったエリアも、何らかの競技の開催地に選ばれるだけで人気が高まりやすいです。国内だけでなく、海外の不動産投資家による買い占めが生じることも少なくありません。ただし、このような景気が良い話ばかりではないので注意しなければなりません。オリンピックが閉会したあとは、地価が下がっていく傾向があるからです。マンションの価格が大きく下がってしまうことも問題視されています。不動産業の活性化を一過性のものにしないためには、オリンピックの後の土地や物件の活用について検討していく必要があります。