三重県伊勢市における不動産売買の現況(2019・令和元年)
三重県伊勢市は三重県中東部、伊勢平野の南端に位置する市で、面積は約208平方キロメートル、人口はおよそ12万5千人です。伊勢湾に面した比較的温暖な気候で、伊勢志摩国立公園の玄関口として豊かな自然が育む海と山の美味しい食材に恵まれており、世界的に有名な伊勢神宮へ国内外から多くの人々が訪れる観光地となっているため、同じ三重県の四日市市や鈴鹿市のような工業都市ではなく、観光都市として栄えていることが特徴です。伊勢市の人口は1985年をピークに年々減少していますが、特に伊勢神宮の周辺とそれ以外のエリアの二極化が進んでおり、これが不動産売買にも大きく影響しています。伊勢市内の平均地価は1平方メートルあたり5万円で、坪単価にすると17万円前後となっていますが、地価の高い順に見ると、市の中心部の近鉄鳥羽線伊勢市駅周辺から五十鈴公園のある五十鈴川駅周辺が上昇傾向にあり、1平方メートルあたり15万円から25万円が相場となっています。また、松坂市から伊勢市にかけて市街地を迂回する南勢バイパス沿線の御園エリア周辺はショッピングセンターや人気の飲食店が多く、地価も上昇傾向です。しかしながら、伊勢市の不動産売買の現況を見るとあまり活発というイメージはありません。伊勢市は伊勢神宮を中心とする歴史と文化の市であり、伝統文化を守るというイメージが強く工業都市のように人の出入りがあまり激しくないことから新しい土地が出にくいという特徴があります。また、公共事業も年々減少傾向にあり、この20年足らずで最盛期の2分の1まで減ってしまったため、不動産を購入する人も少なくなりました。一戸建てやマンションの建築件数が2007年ころをピークに少なくなっているのも、買い手が減少していることが大きな原因と考えられています。今後の伊勢市における不動産売買の動向としては、2025年問題で財政が苦しくなるものの立地適正化計画次第では地方にも移り住む人が増えると予想されており、売買の活性化が期待されています。