栃木県の通所介護施設の現況(令和元年・2019)
栃木県の通所介護施設は128ありますが、そのうち95は宇都宮市に集中しており地域格差が大きな課題となっています。
人口約6万人の下野市、約8万人の日光市のようにそれぞれ1つの事業所しか存在しない市もあるほか、認可事業所が存在しない市町村も多数あり、宇都宮市を除きその多くを認可外の事業所に頼っているのが現況です。
特に通所介護施設の少ないエリアでは申し込みが殺到し、遠方から通わなければならなかったり長距離の送迎が必要な場合には原則対応しないという方針の事業所も多く、公的なサービスは利用せずにご家族で対応するなどの対策も迫られています。
交通アクセスの問題も大きく都心部では電車やバスなどの公共交通機関が充実していますが、郊外へ行けばタクシーを呼ぶしかないという地域もあります。
その一方で、宇都宮市をはじめとする設備や人員が充足していたり複数の通所介護施設が存在することで利用者が適切に分散するなどして事業のサイクルが健全に回っている地域では、質の高いサービスが受けられるのはもちろんのこと、周辺地域との交流も積極的に行われており、リハビリなどの訓練の一環で作られた作品の展覧会や工業製品の販売会などが行われ、要介護者にとってのやりがいやご家族にとっての憩いを与え、地域住民からの理解を深めるといった好循環を生み出している好例もあります。
また、職員も医師や理学療法士、看護師など専門的な知識と技能を持ったスタッフが常駐しており、体調不良などがあれば迅速に対応してもらえる医療体制が整っているほか、ソーシャルワーカーやケアマネージャーなどが常駐している相談窓口も設け、要介護者本人やご家族からの相談を受け付けています。
通所介護施設の数が多い宇都宮市周辺ではこれらの充実したサービスが受けられる機会に恵まれている一方で、数が少ない、あるいは事業所すら存在しないエリアでは他の都道府県同様に厳しい現況が続きそうです。