長崎県の通所介護施設の現況(令和元年・2019)
全国的に少子高齢化が進んでいる現在の日本では、介護施設やサービスの充実が急務となっています。東京や埼玉、神奈川、それに大阪、福岡など大都市圏のある都道府県を別とすれば、高齢化と同時に人口減少も各地で進んでいるため、介護の人材不足が深刻です。長崎県においてもそれは同様であり、特に若者が福岡などの大都市に流出してしまうため、介護ケアのための労働力が大きく不足しています。外国人労働者の受け入れが始まったことにより、長期的に見ればこの傾向は緩和されることが期待できますが、送迎などは日本国内の自動車免許を持っていないと行えないため、やはり日本人スタッフが欠かせません。特に長崎県は非常に坂の多い街として知られているため、入居施設ならともかく、通所介護施設においては送迎が非常に大きな負担となっています。たった数百メートルの距離であっても、介護を要するお年寄りが一人で通ってくるのは難しいですし、急勾配の坂や狭い道が多いため、車椅子での通行も困難です。こうした地理的条件によって施設を建てられる場所にも限りがあるため、行政や介護事業者などが対策を検討しているというのが現況となっています。ただし、明るい展望がないというわけではありません。技術の発達によってドローンによる配送などができるようになれば、坂道や傾斜を気にせずに施設に物資が届きます。また通所介護施設への送迎ドライバー不足も、自動運転の発達によって解消される可能性があるのです。介護ロボットの実用化には少々時間がかかりそうですが、すでに介護者の負担を減らすためのパワードスーツなどの開発も進んでいるため、外国人労働者の受け入れと合わせてこういった技術が発達すれば、介護の現場の負担が大きく減少するでしょう。最終的に高齢化や少子化を食い止めるのは時間のかかることですので、長崎県のように急速に高齢化が進んでいる地域にとっては、当面の介護人材不足などの問題解決が行政に求められています。