慢性閉塞性肺疾患における通所介護施設の利用について(考察 2020)
高齢の人が急に咳き込んだり、たんを頻繁に吐くようになることがありますが、このような症状を「慢性閉塞性肺疾患」という病気の可能性があります。
慢性閉塞性肺疾患は、気管支や肺に何らかの障害が発生して、呼吸困難になってしまう生活習慣病の一つです。以前は慢性気管支炎や肺気腫に分類されていましたが、現在では一つの病気の総称として慢性閉塞性肺疾患と呼ばれています。
気管が炎症した場合、気管の壁が厚く腫れ上がることによって通り道が塞がり酸素を十分に取り入れることができなくなってしまいます。呼吸が苦しくなり、同時にたんの分泌量も増えて咳の回数も多くなって体への負担も大きくなってしまうという状態です。
また、肺の中にある肺胞が壊れると、肺自体の弾力性や伸縮性が失われてしまいます。すると呼吸が困難になってしまうのです。肺胞は一度壊れてしまうと、再生することがないため呼吸のし辛さはずっと続きます。
高齢になるほど発症率が高くなってしまい、70歳以上の高齢者の有病率は約17.4%ほどだとされています。そのため高齢者のいる世帯では、特に注意が必要です。
慢性閉塞性肺疾患の治療は一般的に気管支拡張剤が用いられます。吸引器を使って吸い込む治療が行われます。
一方で、薬に頼らない治療もあります。鼻から息を吸って時間を開けてゆっくり息を吐き出す方法や、寝そべった状態で腹筋を意識しながら呼吸する腹式呼吸などが行われます。
それでも酸素不足になると、酸素ボンベを用いた酸素療法が行われます。これは機材を揃えれば自宅でも可能な処置です。
通所介護施設を利用することもできます。専属の機能訓練指導員や看護師が、症状に応じたリハビリを優しくサポートしてもらうことができ、利用者の日常の呼吸の質を高めていくことによって息苦しさを改善して楽に呼吸ができるようになります。
また、呼吸に関わる筋力をアップさせることで、自力でたんを出せる効果を期待できます。