血液疾患における通所介護施設の利用について(考察 2020)
血液疾患で通所介護施設を利用する状況はあまり想定しないかもしれません。しかし血液を作り出す造血器の病気にはしばしば年齢を問わず介護や介助を必要とする事態に発展する可能性が否定できないので、通所介護施設の利用も視野に入れて今後の療養生活を検討する必要があります。例えば白血病では比較的若年層でも発症する可能性があるのです。白血病治療のためには濃密な抗がん剤投与や、感染症対策のほか根治のためには骨髄移植が必要になるなど、身体への負担が大きく回復のためには通所介護施設の利用が必要になることがあります。
最近では平均寿命がのびたことで、人生100年時代との言葉もうまれているほどですが、加齢によって増加する血液疾患も増加傾向をみせています。高齢者の血液疾患で多いのは多発性骨髄腫や悪性リンパ腫などを挙げることができます。特に高齢者では多発性骨髄腫の発症が多くみられ、QOL(生活の質)に大きな影響を与えます。具体的には背骨などの主要な骨格に骨髄腫が増殖することで、病気骨折をきたせば運動機能に大きな支障をきたします。脊髄に腫瘍が浸潤すれば神経麻痺が生じたり、免疫機能が大きくていかすることで感染症のリスクの拡大に直面することにもなるわけです。
しかし高齢者では多発性骨髄腫や悪性リンパ腫などに罹患しても、治療による体への負担と期待できる治療効果との兼ね合いでどこまで積極的に医療措置をとるべきなのかは大きな問題になることがよくあります。
深刻な血液疾患に罹患したときには、生活の質を維持するためにあえて積極的な治療に取り組むことなく、必要な介護や介助を提供することの方が優先される事態も検討する必要があるわけです。一般的には高齢者の血液疾患では進行が比較的ゆっくりすることが多いので、通所介護施設をうまく活用することで患者さん本人の負担のほか、周囲の家族の介護負担を大きくへらすことができます。今後は通所介護施設を利用して血液疾患に付き合うことが、これまで以上に要求されることになるでしょう。