縦靭帯骨化症における通所介護施設の利用について(考察 2020)
縦靭帯骨化症は椎骨をたてに結合する縦靭帯が、骨に変化することで脊髄内部や派生する神経根が圧迫を受けて、感覚障害や運動障害をひきおこす疾患で国の指定難病に規定されています。靭帯は骨同士をつなげる役割をになっていますが、その内部には神経組織がはしっていいます。神経組織は脊柱管に保護されていますが靱帯が骨化することで、神経が圧迫を受けるため、神経が支配する部位に応じて多彩な症状を呈します。骨になる部位には頚椎・胸椎・腰椎など脊椎の各部で生じることがあり、男女比では2:1で男性に多く年齢的には50歳代以降の中高年に多いとされています。特定の原因ではなく複数の要因が関係して発症するものと考えられており、ホルモンバランスの異常やビタミンD不足や糖尿病や肥満蛍光などが要因として指摘されています。ただ遺伝的素因が関与しているのは明らかで、患者さんのきょうだいに同一の疾患が発病する確率は30%とかなり高率です。
縦靭帯骨化症は病変部位により症状の特徴が異なり、頚椎と胸椎・腰椎のどこに病変が発生しているのかがポイントになります。頚椎では首周辺のいたみなどが初発症状ですが、次第に麻痺や筋力低下、両手の細かい作業が困難になるなどの症状が見られるようになります。胸椎や腰椎に病変があると、体幹や下半身に症状が出てきます。下肢の筋力低下や腰痛などからはじまりますが、重症化すると歩行困難になったり排尿や排便などに支障を来たし著しく生活の質を低下させることもあるのです。
治療は患部を専用のカラーやコルセットで固定するなどの保存的治療のほか、神経の通り道を確保する手術なども行われています。縦靭帯骨化症は進行性の病気ですが、外傷などの外的要因がない限り急速に進行することはないので、可能な限り生活能力を維持しながら長期的視点で病と向き合う必要があります。通所介護施設を利用して麻痺や筋力低下などに随伴する生活上の困難を上手に活用するのが療養上も大切です。