口腔疾患における通所介護施設の利用について(考察 2020)
通所介護施設とはいわゆるデイサービスで、多くの人が利用されています。老人ホームに入らなくて良く、住み慣れた自宅で生活でき、自宅では難しい部分を介護施設で行える便利なサービスです。本人や家族の負担が楽になるので、利用できる対象者はぜひ利用してみてはいかがでしょう。
厚生労働省では通所介護施設は利用者が可能な限り、日常生活ができるよう、自宅に引きこもり利用者の引きこもり感や孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減を目的としています。
通所介護施設では多くの人が入浴サービスと食事を利用され、リクリエーションなどで楽しい時間を過ごすことができます。体に不自由を抱える人ならそれで十分かもしれませんが、そのほかにも心臓や脳の血管にかかわる疾患、内臓疾患、食事制限の必要な糖尿病や高血圧に対しての理解やサービスを受けられるかどうかも大切です。大きな病気にはそれぞれ対処できるサービスが分かりやすいですが、口腔疾患も高齢者にはケアが大切で、口腔内をきれいにしている人そうでない人では、健康に大きく差が出ます。
口腔ケアのとり組が重要視され、厚生労働省でも口腔疾患のケアに力を入れています。老人ホームなどではすでに始まっていますが、通所介護施設では口腔疾患に対する人員が存在せず、専門的なケアが受けられない場合もあります。入れ歯、歯槽膿漏、歯が無くなっている人、歯周病、嚥下力が落ちている人などは、ケアをしないままで生活すると思わぬ病気になる可能性が高まります。歯科衛生士など専門性を持った人を配置している通所介護施設選びが大切になります。
通所介護施設では、口腔機能向上加算を実際に算定できる事業所が少なく、設備が整っていない施設が多くあります。協力歯科医を探したり、口腔ケアの勉強会に力を入れたりする施設も増えてくるでしょうから、口腔疾患をお持ちの方は、あきらめずに探し、専門的なケアを受けられる施設を利用しましょう。