進行性核上性麻痺における通所介護施設の利用について(考察 2020)

進行性核上性麻痺とは、大脳基底核や脳幹部・小脳などの神経細胞が減少することで、転倒しやすくなったりしゃべりにくくなる・嚥下困難などの症状をきたす病気です。下方向をみることができなくなる、といった特徴的な症状があることも知られています。動作が緩慢になったり歩行障害など、一見するとパーキンソン病に類似した症状を呈するので初期は区別をつけるのが難しいばあいがあります。ただしパーキンソン病治療薬の効果は一時的で進行も早いことから最終的には、進行性核上性麻痺の確定診断を受けるのが多いようです。最近の日本国内での調査では、有病率が人口10万人あたり10人から20人ほど、20年ほど前の調査では5.8人ほどと推測されていることと比較すると、最近の増加傾向は明らかです。この増加の背景には言うまでもなく高齢化の進行が基礎にありますが、進行性核上性麻痺のなかには典型的症状を呈さないタイプの存在が明らかになり、国の指定難病に分類されたことで知名度が上昇したことも関係しているようです。
進行性核上性麻痺の発症年齢は、40代以降で50歳代から70歳代で最も多く発症します。この病気を発症した脳内では神経細胞が減少するだけでなく、神経原繊維変化が見られるようになります。
進行性核上性麻痺を発症すると、半数以上の患者さんで転倒を繰りかえすようになるとされています。危なさを判断する能力も低下するので、注意していても転倒してしまいます。バランスを崩したときに、手で防御する反応が起きないので顔面や東部を負傷しやすくなるようです。特徴的な眼球運動障害も生じ、下方向をみるのが難しくなります。やがてはしゃべったり、呑み込みにくくなる嚥下障害も観察されるようになり、誤嚥性肺炎のリスクもたかくなっていきます。
進行性核上性麻痺は生活機能維持が重要なので通所介護施設を利用して、適切なサポートをえるのは有益です。通所介護設備では、進行性核上性麻痺の特性を踏まえたケアを期待できるからです。