感染症における通所介護施設の利用について(考察 2020)
感染症患者のデイサービスセンターやケアハウスなどの通所介護施設の利用に関するルールは、感染症の種類によって異なります。しかし、感染症を引き起こす原因となっているウイルスや細菌などが体内からなくなり、本人およびその家族が感染する可能性がなくなるまで施設の利用が控えられる点については、ほぼすべての感染症において共通しています。これは、施設内で感染が広がるのを防ぐためでもあります。集団感染が起こった場合は施設が休館となり、一切利用できなくなります。
例えばインフルエンザウイルスの場合、ある通所介護施設では流行期にさしかかると、スタッフによる利用者の体調チェックが普段より念入りに行われます。既に感染症の症状が出ている場合はもちろん、体温が一定以上に達している場合でもウイルスに感染しているかどうかに関係なく自宅療養をお願いされます。インフルエンザウイルスに感染した場合、再び通所介護施設を利用できるようになるのは、ウイルスが原因の高熱や喉の痛みといった症状がおさまってから3日経過後、体調に問題が無いときになります。
また、利用者本人の体調にまったく問題がなくても、配偶者や親族などの同居人がウイルスに感染していれば自宅療養とされる場合があります。これは同居人と通所者の濃厚接触によって、通所者がウイルスの保菌者となる可能性があるからです。インフルエンザウイルスは感染後1〜4日程度の潜伏期間があり、この間にウイルスが体内で増殖していきます。潜伏期間中に保菌者の通所を許すと、その人を通じて他の利用者がウイルスに感染し、施設内の集団感染に発展する起こるおそれがあります。通所者の中には通所介護施設へ行くのを楽しみにしている人がいるでしょうが、感染が広がるのを防ぐ目的で行われているものなので了承するしかありません。
インフルエンザ以外のウイルスや細菌の感染症に対しても、上記と似たような措置がとられるでしょう。感染症が流行する時期になったら、手洗いやうがい、手指の消毒を徹底して行ったり、外出時に必ずマスクを着用するようにしたりして、感染を防ぐよう努めましょう。