筋萎縮性側索硬化症における通所介護施設の利用について(考察 2020)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、中年以降の年齢で発症する神経細胞の運動ニューロンが特異的に変性・消失していく疾患です。発症年齢が比較的高いにもかかわらず病勢の進行は比較的急速で人工呼吸器を装着しないかぎり、2年から5年ほどの経過で死亡に至ります。筋萎縮性側索硬化症のうち5%は家族性に発生し、このような遺伝的要因が大きいタイプは、家族性ALSと呼ばれています。家族性ALSでは活性酸素(フリーラジカル)を処理する酵素の遺伝子の変異が発見されており、現在においても原因遺伝子の変異が次々に発見されているそう。遺伝子変異の関係性が希薄な、孤発姓のALSではフリーラジカルの関与やグルタミン酸毒性などの関係していると見られる見解が有力です。
筋萎縮性側索硬化症は症状の出現部位により数種類の代表的なタイプに分類されます。上肢の筋力低下が主体の普通型、下肢から筋力低下から発症し、下肢の腱反射消失や筋肉消失が早い段階からみられる偽多発神経炎型、そして嚥下困難や講音障害といった症状が主の進行性球麻痺型の3種類が代表的です。これ以外にも呼吸障害が急速に出現するタイプや、認知症などの高次脳機能障害を併発するタイプも存在す¥ることがしられています。
従来は有効な根治治療は存在していませんでしたが、最近では治験段階で生存期間を延長させる薬が確認されたり、新薬の臨床試験も複数種類で進行しているようです。しかし現時点で優位に効果が認められた薬剤は事実上ないのが現実で、筋萎縮性側索硬化症の進行に伴い出現する諸症状の改善やケアを図るのが重要です。呼吸困難になれば外出も困難になるので、信仰初期の段階では通所介護施設の利用は、不安や抑うつなどの精神面の症状の改善にも役立ちます。
筋萎縮性側索硬化症のなかには10数年以上の時間をかけて緩慢に経過することもありますが、一般的傾向として進行は急速です。早い段階から施設介護施設なども利用してきめ細かいケアが必要になります。