糖尿病における通所介護施設の利用について(考察 2020)
高齢者や障害者が自立した生活をおくれるよう支援する施設のうち、デイサービスセンターに代表される通所介護施設は身体と心の機能を維持させるとともに、自宅に籠りきりになりがちな人の孤独感を解消させて社会との繋がりを維持することと、家族の自分の時間の確保と負担軽減をもたらすことを目的としています。しかし、施設ごとに法令に基づいた利用要件が設定されており、それを満たさなければ利用することができません。では、糖尿病を抱えている人の通所介護施設の利用の可否や注意すべき点はどのようになっているのでしょうか。
通所介護施設は原則として、5段階ある要介護の区分のうちのいずれかに認定されている人が利用可能です。糖尿病を抱えている患者についても多くの通所介護施設で受け入れており、申し込みの時点で利用に支障をきたさないと施設側に判断されれば入所が認められる可能性が十分にあります。施設側の入所の可否の判断は、入所申込書の記載内容や医師の診断書、健康診断の結果が記載された書類の内容などをもとに判断されます。施設によっては、食事の時間に制限食の提供を受けられる場合があります。
ひとことで糖尿病といっても、症状の程度は患者によって様々です。食事や運動といった薬に頼らない治療や飲み薬による治療を試みている段階であれば、ある程度自立した生活が可能であるため入所が認められる可能性は十分にあり、神経障害や網膜症などといった合併症の症状があらわれるまで進行している場合でも、施設によっては血糖測定器や常備薬を必ず持参させることや、緊急時に施設側の判断で病院へ搬送することへの同意などを条件に入所が認められることがあります。糖尿病患者が通所介護施設を利用するときの施設選びでは、利用中に自身の身体に重大な異変が発生したときのバックアップ体制が整っているかどうかや、大病院や糖尿病治療を行うクリニックなどとの連携があるかどうかのチェックが必要となるでしょう。