脊髄小脳変性症における通所介護施設の利用について(考察 2020)
脊髄小脳変性症は、主に小脳や脊髄の中枢神経などの神経細胞が障害されることで発症する神経の萎縮性疾患のことをさしています。小脳や脊髄は運動機能を司るため、歩行時のふらつきやつまずき、ろれつが回らないなどの症状の出現をみます。患者数全体のなかで遺伝性のタイプは30%程度で、のこりは孤発性で原因がよくわからないタイプも珍しくありません。脊髄小脳変性症は数十種類ものタイプがあるとされており、症状の経過や予後にも大きな鼻が見られます。国の指定難病のひとつで全国で推定3万人以上の患者さんがいるものとみられているのです。
脊髄小脳変性症を根治させる治療法は確立されておらず、症状の出現には個人差があり病状は徐々に進行していきます。病名をみれば明らかなように、笑納と脊髄に関連する症状が出現します。小脳や脊髄は体幹のバランスや歩行の調節・言葉の抑揚に関連するうえで非情に重要な機能を担っています。そのためふらつきやろれつの異常などから症状が出現するわけです。これらの典型的症状のほかにも、足のつっぱりや手で細かい動作ができなくなる、歩幅が非常に小さくなるパーキンソン症状やジストニアなど多彩な症状を呈します。なかには幻覚や失語・認知症など大脳に関連する脳機能障害を併発することもあります。脊髄小脳変性症は進行性に経過し、全身に症状が波及し嚥下機能などにも障害をきたすようになります。その結果誤飲性肺炎を併発し、呼吸障害から死亡する可能性も高くなるわけです。
脊髄小脳変性症は根治的治療は存在しないので、進行を食い止めるためにも筋力を維持することがポイントです。そのためリハビリテーションが重要で、筋力があれば寝たきりになるリスクを下げることにもつながります。自宅での生活に困難な事態に直面したときは通所介護施設を利用して、サポートを受けることには意義があります。筋力を維持するには、通所介護施設などを利用しながら、リハビリのモチベーションを保つことも大切です。