帯状疱疹における通所介護施設の利用について(考察 2020)
現在では水ぼうそうワクチンが義務化されていますが、以前は病気かかることで免疫をつけることが当然と考えられていた時代がながく続いていました。一度かかれば生涯免疫がつくので、幼少期に水ぼうそうにかかった経験があれば成人以降の年齢で再度発症する心配はありません。しかし子供のころに感染した水ぼうそうの原因ウイルスは、体内から排除されることはなく、休眠状態で神経細胞で息をひそめて存在し続けています。大半は休眠状態のままで経過していきますが、がんをはじめとした慢性消耗性疾患やストレス、風邪などで免疫機能が低下したコンディションが継続すると、ウイルスが活性化し増殖を開始することがあります。その結果発症する病気の代表格が帯状疱疹です。
帯状疱疹は水ぼうそうウイルスを原因とする感染症で、中高年以降の年齢で発症する傾向がみられます。免疫機能の低下などをきっかけに神経細胞内で増殖を開始し、神経線維にそってウイルスが移動し皮膚に到達することで発症するのです。似たような病気にヘルペスがあります。原因となるヘルペスウイルスと水疱瘡ウイルスとは、近縁の種類になりますが症状に決定的な違いが。それは帯状疱疹の場合、身体の左右いずれかの神経線維にそって水ぶくれや痛みなどの症状が出るだけでなく、痛みの程度も強いという特徴があります。これに対してヘルペスでは患部が口唇や性器などに限定され、性器などでは皮膚症状が左右に広がりをみせることがあり、痛みやかゆみなどの自覚症状も軽い状況で推移するのが一般的です。またヘルペスの場合、治癒すれば後遺症を残すこともありません。
しかし帯状疱疹では、神経細胞がダメージを被ることで治癒したあとも、神経痛という後遺症をのこすことがあります。帯状疱疹後の神経痛は強烈な場合は、通所介護施設を利用して生活の介助を受けることが必要な状況もめずらしくありません。通所介護施設を利用しながら、帯状疱疹後の神経痛に向き合うのが賢明な病気との付き合い方です。