ウェルナー症候群における通所介護施設の利用について(考察 2020)
ウェルナー症候群は、1904年にドイツのオットー・ウエルナー医師により初めて報告された遺伝性の病気です。この疾患を抱えていると思春期を境に急速に老化が進行するため、早く老いる「早老病」の一種と認識されています。いパン的には中高年以降の年代で発症する白内障なども20歳代で発症し、外見的にも白髪や脱毛、四肢の筋肉が萎縮して手足が細くなる等、明らかな老化現象が出現します。糖尿病や脂質異常症などの代謝障害を併発することが多いので、患者さんのほとんどは40歳代で死亡するのが大半でした。現在では医療技術の進歩で、ウエルナー症候群を抱えている患者さんでも60歳代でも生存する方も珍しくありません。しかし老化が急速に進行するので悪性腫瘍や心筋梗塞などの離間率が高いので早期発見早期治療が非常に重要です。またウエルナー症候群特有の症状に、難治性の皮膚潰瘍があります。足先や肘などに深い傷(潰瘍)が発生し、長期間にわたり治癒しないまま経過し、最終的には四肢の切断を余儀なくされることもあります。日本国内ではウェルナー症候群の患者数は2000人程度、5万人から6万人に一人ほどの頻度で発症すると推測されています。世界中で報告されているウェルナー症候群の6割は日本人患者で、主に血縁が濃くなる近親婚(いとこ婚やはとこ婚など)が多い地域で見られていましたが、現在では近親婚などに無関係の方での奨励も増加しています。この病気の原因はWRNと呼ばれる遺伝子の異常にあります。WRNは組織がダメージを負ったときに修復する機能を担っていますが、何らかの理由でこの遺伝子に異常をきたすことで、ウェルナー症候群を発症するとみられているのです。
ウェルナー症候群の根治的治療は発見されていないので、具体的病気が発症したときにその都度必要な治療を行うことが重要です。老化の進行で日常生活に介助や支援が必要になったときは通所介護施設を利用することで、快適な日常生活を維持することが必要になってきます。