精神疾患における通所介護施設の利用について(考察 2020)
体には異常がないのに、脳や精神に何らかの問題が生じる精神疾患は非常に厄介な病気です。一見すると普通の人に見えるということもあり、なかなか世間の理解を得られないという側面があります。自分に、あるいは家族にそんな精神疾患がある場合、どのようなケアが最も適切なのでしょうか。昔で言う、いわゆる精神病院というのはかなり症状の重い人向けの施設であり、確かに入院させてしまえば家族の負担は非常に少なくなります。しかし同時に、一旦入院するとそう簡単には出られないということもありますし、社会との接点を失うと社会復帰までは非常に時間がかかってしまうというリスクもあるのです。その上、精神疾患の患者数は近年増加の一途をたどっており、病院のベッドに空きがないという状況が続いています。そんな中、患者とその家族を救ってくれるのは通所介護施設という選択肢でしょう。症状が非常に軽ければ自身でメンタルクリニックなどに通い、服薬しながら治療と社会復帰を目指していくという方法があります。しかし症状がある程度進んでいると、自分自身で外出したりするのも難しいものです。そういった時には必要なカウンセリングやトレーニングなどを受けられる、通所介護施設を利用するというのが最もおすすめなやり方になります。多くの施設では送迎サービスを行っていますし、車の運転や公共交通機関の利用が精神的に厳しい時でも、問題なく施設までたどり着くことができるのです。精神科の薬は副作用も大きいため、なるべく患者自身で車を運転したりすることは避けて通所するのが良いでしょう。精神疾患の人の多くが、昼夜逆転など生活リズムの乱れを抱えています。しかし定期的に施設に通うことで、生活のリズムも整ってきますし家族以外の人間と触れ合うことで社会復帰のトレーニングにもなるのです。施設自体が患者にとってひとつの居場所となったり、知り合いができることも治療にはプラスとなります。精神疾患といっても様々なので、一概には言えない部分がありますが、通所介護施設の利用は検討に値するものだと言えるでしょう。