島根県の太陽光発電の現況(2019)
島根県は日本海に面した山地が八割以上を占めているという特徴を持ち、人口が日本の中でも少ない県に属していて、企業数もあまり多くなく、農業や漁業といった第一次産業で生計を立てている人の割合が高くなっています。人口が少ないのに面積が広いことから、利用されていない土地は相当な面積があり、高齢化から農地を所持していても耕作できない場所が拡大していることも起因して、休耕地が拡大傾向にあります。
土地があって産業が少ない地域なので、補助金を利用すれば行いやすい太陽光発電事業は注目されていますが、現況ではあまり広がりをみせていません。これは収入が他の地域と比べて低いというのも原因ですが、実は島根県特有の天候が大きな要因になっています。
山陰地方は本州の最西端に近く、緯度も高くないので雪国というイメージをあまり持たれていませんが、実際には積雪が無くても頻繁に雪が降り、それと比例して雨や曇りの日が多くなっています。太陽光発電では曇りであっても発電は可能ですが、やはり発電効率が悪くなってしまい売電するだけの電力を得られるか懐疑的です。そのため太陽光発電を行なうためには晴天の割合が高い地域を選び、島根県のような晴天になりにくい地域は敬遠されても仕方がないでしょう。
太平洋上で発生した雲は貿易風によって日本に流れて行きますが、その際に高気圧や山地によって移動する方向を変えていきます。日本には山地がとても多く、太平洋で発生した雲は九州の山地によって北上しますが、そこに四国と中国地方の山地が邪魔をして自然に山の無い部分を流れます。そうすると山口県と九州の間を通過することになり、そこで日本海にでると再び貿易風に流されるため、どうしても島根県には雲がかかりやすい状況ができてしまいます。
現況ではこの雲の流れを変える方法はなく、晴天になる確率が少なく期待できないのですから、これから太陽光発電が盛んに行われる可能性は極めて低いでしょう。