もしもオーストリア政府が木材市場を運営したら(2020 令和2年)
オーストリアの国土は日本の北海道より一回り大きい程度の広さですが、国土の面積のおよそ半分が森林で、豊かな森林資源に恵まれた地域です。だけどその森林は急峻な斜面に覆われた地域が大半だったため、切り出して出荷するために山岳鉄道などや林道を整備せざる負えなかった結果、高い運搬と伐採技術をみにつけてきました。樹種は高価な建築用木材に適した針葉樹が全体の6割強を占めていた事も、林産業が発展した理由で、オーストリアのGDPに占める割合も昔から高い比率を占め続け、ほとんど衰退する事なく2020年に至ります。そのように林業が長く反映して来た理由には、オーストリア政府の森林政策がかなり寄与していた面が大きいです。オーストリアでは1970年代にかけて、高価格で推移していた針葉樹林の無計画な乱獲が行われてきた時期がありました。それに対してオーストリア政府はすぐに木材過剰な利用を制限するための、森林保護法が1975年に制定されました。その法律によって森林資源の出荷量をコントロールしたおかげで、木材価格の下落を抑えるだけでなく、資源の減少を食い止める事ができました。そしてオーストリア政府は、2000年代になるとさらに森林資源の持続可能性を高めるために、公立学校での木材やその環境を守る事の大切さを啓蒙する教育政策や、観光などの多産業との連携や、環境保護活動への支援を行うようになりました。
そんな今まで森林維持活動に力を入れて来たオーストリア政府が、木材市場を運営したら、たとえ一時的に木材需要が高騰して、出荷量を増やしたくなっても、伐採量や林材生産量を増やさずにコントロールすると考えます。何故ならオーストリア政府は目先の利益を上げるよりも、森林環境の持続可能性に力点を置いているからです。それでも単に森林伐採のコントロールをするだけでなく、どうやったらより高価格で出荷できるかを考えて、木材加工技術を上げる研究に助成金を出して付加価値高い林材品を作らせ続けて、木材市場を発展させていくはずです。