アイスランドの太陽光発電事情(2019)
高緯度にあるアイスランドは、日照時間の短い国です。
そのため日照時間が重要となる太陽光発電には、向いている地域ではありません。
太陽光発電が向いていないと、電力は石油や石炭で賄っていると思うでしょう。
しかしアイスランドは、再生可能エネルギーがほぼ100%の国です。
つまりアイスランドで使われている電気のほぼすべては、自然のエネルギーを使っていることになります。
アイスランドが再生可能エネルギー100%になった事情は、1970年代に起きたオイルショックにまで遡ります。
当時のアイスランドは、黒煙が黙々と立ちこめるほど石油や石炭を使った発電がメインでした。
しかしオイルショックを機に再生可能エネルギーの普及が進み、当時とは大きく事情が変わりました。
太陽光発電が期待できないアイスランドでメインとなっているのは、水力と地熱です。
特に地熱エネルギーの利用はオイルショックを境に進められたとされ、現在では電力の3割が地熱発電と言われています。
地熱発電が普及したのは、アイスランドは世界でも有数の火山国だからです。
北アメリカプレートとユーラシアプレートが生まれて離れていく地域なので、活発な火山活動が現在でも続いています。
2010年には大噴火が起こり多数の欧州便が欠航したので、知っている人も多いでしょう。
同じ火山国である日本も、参考になる部分は多いかもしれません。
もう一つの水力は、全発電量の7割を占めるほどになっています。
水力や地熱は季節や天候に左右されず確実に発電できるメリットがあるので、デメリットの多い太陽光発電の普及が進まなかったのは当然と言えるでしょう。
自然のエネルギーを活用し安定的な電力を生み出しているアイスランドは、世界的に見ても電気料金が安い国です。
その特徴を活かして大量の電力を必要とする産業が活発になっており、アルミニウムの精錬やデータセンターの誘致など、経済にも大きな影響を与えています。