オーストリアの太陽光発電事情(2019)
ドイツに隣接するオーストリアは、国民の環境への意識が高い国です。
隣国のドイツでは太陽光発電や風力など再生可能エネルギーを積極的に利用する一方、原子力発電も併用し電源を構成しています。
一方のオーストリアは、原子力発電所を国内に持っていません。
ひとたび事故が起これば大規模な影響を環境に与える原子力発電は、反対運動の高まりによって行われた国民投票により運転開始が禁止されました。
そればかりか、近隣諸国の原子力発電に対しても反対の立場をとっているほどです。
そんな事情を抱えるオーストリアでメインとなっているのは、太陽光発電ではありません。
現在のオーストリアでメインとなっているのは、水力発電です。
オーストリア国内には豊かな水源がいくつもあり、国内には水力発電所がいくつも建設されています。
その発電量は国内の3分の2を占めるほどで、熱も合わせると7割は水と熱で発電しているとされます。
太陽光発電についても水や熱に比べると少ないものの、普及が進められています。
オーストリアの住宅は屋根が大きく、5キロワット以上のパネルを使って発電するのが主流です。
また一般住宅の屋根だけではなく農家では倉庫の上に太陽光パネルを取り付け、太陽光発電を行うケースも増えてきました。
こうして太陽光発電の普及が進められている事情には、政府が支給する補助金の存在があります。
オーストリアでは太陽光発電やヒートポンプなど、環境に配慮した設備を取り付けると政府から補助金を受け取れます。
元々環境への意識が高いところに経済的な負担を軽減できる補助金などの措置があれば、太陽光発電の普及が進むのは当然と言えるでしょう。
今後もオーストリア国内の電源構成でメインとなるのは、豊富な水を活かした水力発電です。
しかし太陽光発電も国民の意識の高さや政府が行う施策の影響により、今後も割合は伸びていくと考えられて、数年後には今まで以上に普及しているでしょう。