デンマークの太陽光発電事情(2019)
デンマークの太陽光発電事情としては、それほど普及しているものではありません。日本と比べると緯度が高く夏は日照時間が長いものの冬は反対に短くなり、また積雪もあります。日本でも北海道や東北などの積雪地帯での太陽光発電が普及していないのと同じ理由で、デンマークでは普及しているものとは言い難いものです。しかし、再生可能エネルギーに関しては熱心な地域であるため、取り組みも盛んに行われています。その中で主力となっているのが、風力発電です。
デンマークはバルト海と北海に挟まれたユトランド半島に位置しており、1年間を通して風が吹きやすい地域になります。北海油田など石油や天然ガスでも恵まれていますが、再生可能エネルギーに関しても熱心であり、1980年代から組合を設立するなどして個人でも共同で所有する風力発電所が、デンマーク各地に建設されており、現在では総電力需要の4割り以上を賄うほどです。
統計でみれば、5年前の2014年のデンマークの電力生産では、風力発電が約40.6%を占めており、このほかバイオマス発電が15.6%で、太陽光発電も1.9%を占めています。基本的な再生可能エネルギーでは風力発電が主力であり、それをバイオマス発電を補うというのがスタンスです。一方で従来の化石燃料による発電のシェアは、石炭が34.4%で天然ガスが6.5%であり、石油は1%であり、全体的にみれば再生可能エネルギーがデンマークの電力事情の半分を占めています。このような状況になったのには1985年に原発に依存しない政策を選択し、さらに2012年には2050年までに化石燃料を使用しないエネルギー戦略を打ち出していることが大きく影響しているものです。
デンマークの場合には地理的な条件として太陽光発電は向いていないため、今後も普及するとしてもそのシェアが拡大する状況にはありません。しかし、デンマークは再生可能エネルギーの取り組みに熱心であり、またそれを実行している世界の有数の国です。