ベルギーの太陽光発電事情(2019)
ベルギーは東日本大震災による福島第一原発の事故後、国内の原子力発電所は2025年までに全廃することにしました。
原子力発電所の全廃をするなら、問題となるのは代わりのエネルギーです。
ベルギーを始めとするヨーロッパ諸国は、ロシア産の天然ガスを使った火力発電が主流でした。
原子力発電所の全廃を決めた頃は、代替としてロシア産天然ガスが有力とされていました。
しかしウクライナの問題を皮切りに、西欧諸国はロシアとの関係が悪化していきます。
2014年にはロシアがウクライナの領土で会ったクリミアを併合し、ヨーロッパとの関係は一気に悪化します。
こうなると、ヨーロッパ諸国は関係が悪化するロシアにエネルギーを依存するのは危険です。
そのため代替エネルギーとして今度は太陽光発電などの再生可能エネルギーが注目を集め、普及が一気に加速します。
今ではEU域内の主要な電源は太陽光発電になりつつあり、加盟国では普及が進んでいます。
こうした事情がありながらも、ベルギー国内での太陽光発電は他のヨーロッパ諸国と比べたら遅れがちです。
他の国と比べると太陽光発電の発電量は低く、電源構成でも数%に留まっています。
太陽光発電の発電量が低いと、ベルギーは再生可能エネルギーに対し積極的な取り組みをしていないと思われるかもしれません。
しかしベルギーでは、太陽光発電より太陽熱温水器の普及が進んでいる事情があります。
太陽熱温水器は太陽光発電に比べると設置費用が安く、ベルギー政府から補助金も受けられます。
それに対して太陽光発電は、補助金を支給する地域が少ないのが現状です。
一部の地域では補助金制度が確立していますが、受けられる対象が限られるので普及が進んでいません。
元々の価格が安く補助金も受け取れるなら、ベルギーで太陽熱温水器が一般家庭や企業に普及するのも当然と言えるでしょう。
ベルギーはその他にも洋上風力発電に力を入れており、他の国とは違う形で再生可能エネルギーを利用しています。