ノルウェーの太陽光発電事情(2019)
スカンジナビア半島にあるノルウェーは、世界でも高緯度にある地域です。
夏は白夜になるほど日照時間は長くなりますが、昼は日が昇る時間は短くわずかしかありません。
そのため太陽の光が重要な太陽光発電には、向いている国ではありません。
太陽光発電が使えない事情がありながら、ノルウェーは自然エネルギーの割合が高い国です。
ノルウェーの電力でメインとなるのは、水力です。
水力発電を安定的に稼働させるためには、急峻な山地と河川が必要になります。
流れの激しい河川にダムを造り発電する必要があるので、条件がハマらないと水力発電は使えません。
起伏の激しい地形が多く河川も多いノルウェーは、水力発電が普及する条件を満たしています。
つまりノルウェーで太陽光発電より水力発電がメインとなったのには、自然に恵まれていた事情があったからと言えるでしょう。
とはいえ水力発電は、渇水になれば電力を作り出すことができません。
日本でも渇水の影響でダムの底が見え、水力発電所が使えない事態は起きています。
こうした問題に対処するため、ノルウェーを含む北欧諸国は協定を結んでいます。
北欧の4カ国はノルドプールと呼ばれる国際連携電力取引市場を作り、渇水などで電力を供給できないときには他国から輸入する仕組みを作りました。
万が一の時のために各国が協力できる体制を作り上げたからこそ、不安定とされる自然エネルギーを推進できる事情があります。
このような事情からノルウェーでは、水力発電の割合は約9割に達していると言われます。
約9割も自然エネルギーで電力を賄えているなら、日照時間の問題で使いにくい太陽光発電が普及しないのは仕方がありません。
今後もノルウェーでは水力で安定的に発電し電力を作っていくとされ、また日照時間の問題もあって太陽光発電の割合が増えるとも考えられません。
しかし太陽光発電を使えなくても、自然の地形を利用すれば再生可能エネルギーの普及を進められます。