フランスの太陽光発電事情(2019)
フランスの太陽光発電量は2010年より急激に伸び、2018年には2,299toe(石油換算トン。石油1トン分のエネルギー量)の発電を行いました。これは世界第10位の太陽光による発電量に相当します。現在では国内に7か所の太陽光発電所を持ち、さらに2つの発電所を建設中です。
しかし、現在でもフランスの主要な電力供給手段は原子力発電であり、総電力の70パーセントに相当します。これに対して、太陽光発電を含めた再生可能エネルギーによる発電は8パーセント未満となっています。フランス政府は2017年の時点で原子力発電を利用した電力の供給を50%に引き下げつつ、2030年までに再生可能エネルギーによる発電を40パーセントにまで引き上げることを計画しています。
2019年におけるフランスの太陽光発電事情の興味深いものとしては、道路で太陽光発電をする「ソーラーロード」計画の失敗が挙げられます。これは、2016年12月より行われ、約1,000キロメートルの道路に敷き詰めた太陽光発電パネルで発電を行うというものです。計画では、2019年3月までの間に642MWh(メガワットアワー)と年間2.2万ユーロ(約270万円)の売電収益が見込まれていましたが、実際には発電量は229MWh、売電収益は8,000ユーロ(約97万円)に留まりました。
この計画には、国家予算から500万ユーロ(約6億1,000万円)が割り当てられ、成功すれば、全土に太陽光発電パネルを施設することも見込まれていました。そのため、この失敗は大きな計画の後退と言えます。しかし、これで計画が終了したわけではなく、太陽光発電パネルを次世代のものとしたうえで、区間を400メートルに短縮しての再実験が予定されています。また、自動車による騒音や路面の劣化も大きな問題となったため、その対策を講じなくてはなりませんが、現在でも世界に先駆けた計画として注目を集めていることに変わりはないようです。