日本の太陽光発電事情(2019)
再生可能エネルギーにおいて代表的な発電方式の一つとされているのが「太陽光発電」ですが、日本では他国と比較するとおくれを取っていると言わざるをえない事情となっています。
日本では1990年代前半に個人住宅用の太陽光発電設備の提供が開始されて以降、国や地方公共団体、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、新エネルギー財団(NEF)、電力会社などが創設した支援プログラムを活用することで普及がすすめられ、2000年頃には当時ヨーロッパ全体の分と同規模の発電量をほこりました。
2005年にNEFからの助成終了後に一時市場が縮小しますが、2008年に行われた国の助成策の強化表明や、2009年11月の余剰電力の買取制度開始などによって市場が再び拡大し、価格も下がるようになります。しかし、2000年代半ばの停滞期の間に国外の市場は急激に拡大しており、シェアの面でドイツやイタリア、中国などにおくれをとるようになっていました。2019年現在、日本の太陽光発電のシェアは追いつくどころかどんどん引き離されており、企業別の出荷量のシェアにおいては日本のメーカーは上位10社にすら入れない状況となっています。
2011年の福島第一原子力発電所事故後、日本ではエネルギー政策の見直しが進められ、少しずつではあるものの原子力や化石燃料に頼らない発電方式によるエネルギー確保の実現に向けて動き出しました。2000年代に議論はされていたものの時期尚早として実現に至らなかった固定価格買い取り制度についてもこの見直しの一環で導入が決まり、必要な法整備などを経て2012年7月から始まりました。制度開始後には事業者の参入が相次ぎ、太陽光発電設備が各地に続々と設置されるようになりましたが、転売目的の買取枠だけを設けて発電を実施しない事業者が多数あらわれたことをはじめとして様々な問題が発生したのを受け、2013年以降買取価格の段階的な値下げを行うようになりました。しかし、これが市場拡大のペースの鈍化を招き、2015年度以降は経営破綻をする事業者が続出していることから、この問題の解消は急務となっています。