スイスの太陽光発電事情(2019)
スイスの太陽光発電は、水力発電の次に重要な再生可能エネルギーとされています。スイスでは欧州で初めて、1982年に太陽光発電所が設置されました。その後1992年には、太陽光発電設備規模では、欧州のトップに位置しています。2015年には、その当時では世界最大規模となる太陽光パネルが、スポーツ競技場に設置されました。このようなことからわかるように、スイスは太陽光発電に関して非常に革新的な国の一つと言えます。その一方で全国的な普及拡大にはやや苦戦しているのが実情です。
スイスの太陽光発電事情としては、2018年末時点で、約8万5000カ所の太陽光発電施設が存在しています。太陽光パネルを面積で表すと1300万平方メートルとなり、この数字はなんとサッカー競技場2000個分に相当します。2018年になると、すべての電力消費量の34パーセントを占めるようになり、水力発電が60パーセントを占めているので、再生可能エネルギーとしては2番目に重要な電源になっています。
ほかの国と比較した場合には、太陽光発電量は、スペインやポルトガルなどといった一部の地中海沿岸諸国を上回っています。しかし欧州の平均よりはまだまだ低いのが実情です。そのほかの国の場合には、地面に太陽光パネルを設置していることが多いのですが、スイスの場合にはその多くが建物の上に設置されているのが一つの特徴です。その理由としては、スイスには太陽光パネルを置くことができる空き地が少ないことや、設置をするために許可手続きが必要であり、それにはお金がかかること、またスイスの国民自体が地面への設置に消極的なことが背景に挙げられます。
スイスでは、集合住宅や戸建て住宅に太陽光発電パネルを設置する家が増えてきています。これはパネルの価格が値下がりしたことや、建物への設置がしやすくなったことが理由といえるでしょう。一方で工場等においては、まだまだ普及が足りていないのが実情です。