アイルランドの太陽光発電事情(2019)
アイルランドでは、2020年までに再生可能エネルギーの比率を総電力需要の40%にまで引き上げ、その10年後の2030年までに55%までアップさせる方針が打ち出されています。そんなアイルランドにおけるメインの再生可能エネルギーは風力で、先に述べた政府の目標は風力発電所の増設を推進することで実現させる計画です。一方で、多くの国で主力の再生可能エネルギーとなっている太陽光発電については2019年の時点においても普及は進んでおらず、EUに加盟する国・地域の中では最も低い普及度となっています。アイルランドより太陽光発電の普及がすすんでいない国は、ラトビアなどほんの僅かです。
EU域内の再生可能エネルギーの普及状況等を監視している「EurObserv'ER」によると、アイルランドの太陽光発電の容量は2008年の時点ではたったの0.4MWで、イギリスやデンマークなどといった他の国々と比較するとかなり低いものでした。同じ年の風力発電の容量が1,027MWだったのと比べると、太陽光発電については手つかずといっても良いくらい普及していないのがわかります。
このあと、アイルランドの太陽光発電容量は他国同様に増加していきますがそのペースは極めて鈍く、2015年になってようやく2.1MWにまで上昇し、2017年に15.7MWになって10MWを超えました。政府から必要な支援を受ければ2021年には約500MWに、2030年には約3,700MWに達するという予測がでていますが、政府が風力発電の普及に傾倒している事情もあって予測通りに普及するかどうかは極めて不透明です。
なお、アイルランドで風力発電以外で普及している発電方式は火力発電で、天然ガス・石炭・重油・留出油を一時燃料としている発電所が様々な場所にあります。また、水力発電所も各地にあり、特にウィックロー州にあるターロックヒル発電所はアイルランドで唯一の揚水式水力発電所として知られています。