ドイツの太陽光発電事情(2019)
ヨーロッパには太陽光発電の普及率が高い国が多くありますが、ドイツはそのなかでも特に積極的に取り入れており、エネルギー先進国と呼ばれることも少なくありません。国をあげて導入を進めていますが、その勢いは2019年になっても留まるところを知りません。それを後押ししているのが、首相が示しているエネルギーに関する方針です。もともとは原子力発電を推進していましたが、考えを180度変えてすべて撤廃する方針にシフトしました。
そう言われると、太陽光発電を含めた再生可能エネルギーに関心を持ったのは最近で、後追いで普及率を伸ばしているというイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、実際はそういうわけではなく、2000年の時点ですでに目標を定めており、原子力発電の撤廃を決定した時点ですでに比率が2割を上回ってたいという事情があります。多くの国がドイツの取り組みを参考にしており、日本もその例外ではありません。2020年の目標は3割5分ですが、すでに2割5分を超えているので達成できる可能性は十分にあるでしょう。
また、ドイツでは電気料金の仕組みについても工夫がされています。もともとは、太陽発電などの電気の買い取りに必要となる費用を、一般家庭の電気料金にも可算するシステムを採用していました。つまり、国民全体で再生可能エネルギーの買い取りにシステムを支えていたといっても過言ではありません。しかし、電気を売らない家庭にとっては不満の大きなシステムであったのも事実です。その世論を考慮して、2017年にまったく異なるシステムを導入しました。再生可能エネルギーの電気を販売するときに、買取金額に補助金を加算して事業者に支払うという仕組みです。供給に対する需要の程度が価格に影響を与えるので、補助金が適切に調整されて節約につながると見込まれています。2019年の電力市場が活発である背景として、このような事情も関係しているのです。