バチカンの太陽光発電事情(2019)
ローマ教皇が住むバチカンは、世界で一番面積が小さい国です。
ローマ市内にあり人口は800人ほど、住民のほとんどは聖職者とスイス人の衛兵と言われています。
これだけ小さな国だと、太陽光発電も普及していないと思われるかもしれません。
しかしバチカンは、人口一人あたりの太陽光発電の発電量は世界一と言われています。
バチカンでは2008年に、パウロ6世ホールの屋根に太陽光はパネルを2,400枚も設置しました。
つまり人口一人あたりに対して、太陽光パネルが3枚もあるという計算になります。
そのためピーク時には一人あたりの太陽光発電量は200ワットとなり、ヨーロッパの環境先進国であるドイツの80ワットを大きく上回ることになりました。
バチカンが太陽光発電の分野で世界ナンバーワンになったのは、こうした事情があるからです。
バチカンの太陽光発電事情は、これだけに留まりません。
2010年にはローマ市郊外に、100メガワットの出力を誇る大規模な太陽光発電所の建設計画を発表しました。
これだけ大規模な太陽光発電所は、環境問題に敏感な当時のヨーロッパ諸国にもありません。
そのため欧州最大の太陽光発電所が、世界で最小の国に誕生することになりました。
バチカンはカトリックの総本山でもあるので、キリスト教徒への影響は計り知れません。
そもそもキリスト教は科学に対して否定的な見解を歴史的に繰り返しており、保守的と言えるでしょう。
そんな保守的なカトリックの総本山で最先端の自然エネルギーの導入が進めば、世界中に11億人もいるとされるキリスト教信者への影響は大きなものになります。
実際にバチカンに導入したことで酸化炭素の排出量は年間で225トンも減らしているとされ、それをすべての信者が真似れば環境問題の解決にも近づくでしょう。
もちろんイタリアへの売電収入目当てという現実的な側面もありますが、環境問題解決のため率先するバチカンの姿勢は高く評価されています。