三重県員弁郡における不動産売買の現況(2019・令和元年)
三重県員弁郡は県内でも最北部に位置していますが、現在ではもともと郡内に含まれていた地域の大部分がいなべ市として市制施行されたため、実質的に東員町を指すものといえます。三重県員弁郡は三重県の北の玄関口にあたる桑名市、重化学工業のコンビナートが集まる県内最大の人口を擁する四日市市といった大都市に隣接する立地特性もあって、近年では特に子育て世代に人気の町となっています。町内には東海環状自動車道の東員インターチェンジ、および北勢線の東員駅や穴太駅が所在するなど、交通ネットワークの面でも三重県内の大都市や政令指定都市の名古屋市のベッドタウンとなるべき素地が十分にあり、町内における不動産売買は郡部にもかかわらず割と盛んです。三重県員弁郡における不動産売買の現況ですが、土地に関してはいわゆるバブル崩壊以降は地価公示価格の平均も漸減傾向にあり、これは現在も変わらず、平米単価で3万円強の水準を維持しています。国土交通省が示している不動産取引価格の直近の事例を見ると、土地付き建物は年間で22件、平均の取引価格は1900万円台となっています。マンションについては取引事例はありませんでした。三重県員弁郡を地形的に概観すると、中小河川が流れ田園風景が取り巻く平野部に従来からの市街地が位置し、北部の丘陵地帯に新興住宅地が開かれるといった様相を呈しています。土地単体での取引は市街地と新興住宅地のいずれにもまたがっていますが、土地付き建物の場合には新興住宅地にあたる笹尾地区や城山地区、いわゆる西桑名ネオポリスが主体となっていることが注目されます。西桑名ネオポリスの造成が新たにはじまったのが昭和49年、第二期工事の着手が昭和57年のことですので、当初新天地を求めて移住してきた世代がちょうど代替わりする時期にあたり、三重県員弁郡における庭付き一戸建て住宅の売買は、今後とも引き続きこのエリアが主導するものと見られます。