鳥取県の不動産売買の現況(2019)
鳥取県は中国地方のなかでも日本海側に位置し、新幹線をはじめとした交通インフラの面でも瀬戸内海側の山陽地方と比較すれば立ち遅れが目立つことから人口の集積は少なくなっています。特に全国47都道府県で見た場合の人口規模は最下位に位置付けられることもあって、全般的に鳥取県内での不動産売買は低調であり、西日本レインズで公表している県別の不動産売買の成約件数では、中古戸建住宅と中古マンションはともに月間で数件から十数件程度にとどまっています。大元の取引件数が少ないため、大型案件がひとつでも登場すれば価格・件数・面積といった統計数値に影響が及びやすく、時系列での傾向を把握するにも慎重を期する必要があります。その上での2019年時点での最新動向としては、前年2018年から価格帯や面積が前年比で下回る月が多くなっているいっぽうで、取引件数自体は横ばいかむしろ増えている月が目立っています。県内でも最近は管理者がいないか、いても適正な管理ができていない空き家が目立つ状況となってきており、かつての人口増の時代から一巡して、当面は所有者としても利用の必要がなくなった土地や建物を不動産売買というかたちで放出する動きが強まるいっぽうで、築年数の経過などの要因から高値で売却することはできず、低価格での売却を余儀なくされている事情がうかがえます。このような現況にあって、鳥取県では住宅新築に対して最高で100万円、改修の場合であっても最高50万円を交付する公的な支援事業を創設して県内での定住促進に努めているところであり、取り組みが成果を収めれば、不動産売買市場にもプラスの影響が及ぶことが見込まれます。特に定住促進に向けた県の事業は、県内人口の増加に加えて、県産材の利用促進や県内建設業の育成支援といった多方面の目的を企図している部分があることから、不動産業界だけにとどまらないさまざまメリットを誘発することが期待されます。