ケヤキに対するコロナウイルスの影響について(令和2年 2020)

ケヤキに対するコロナウイルスの影響について(令和2年 2020)

 

これまで景気が変動しても、ケヤキは比較的安定した取引数が維持されてきました。見た目の美しさと強度の高さを兼ね備え、昔からハイグレードな木材住宅の素材として定番だからです。また、高級なテーブルやタンスなどの家具にも欠かせない材料となっています。時代が進むにつれて品質が重視されるようになり、平成が終わってからもその傾向に大きな変化はありませんでした。そのため、ニーズに多少の変動はあるものの、これからも良好な取引状況が続くと見られていたのです。
しかし、その予想とは大きく異なる傾向が現れつつあります。コロナウイルスの影響によって取引数が減少してきました。一部の国では収束の兆しが見えていますが、日本は緊急事態宣言が出されて以来、林業も大きな打撃を受け続けています。もちろんケヤキの市場も例外ではなく、コロナウイルスの騒動が収束しない限り、もとの取引数まで回復することはないでしょう。ケヤキは虫が付きにくいという特徴があるため、菌にも強いと思っている人が見受けられます。しかし、たとえケヤキでもコロナウイルスの滅菌はほとんど期待できません。
そのため、他の木材と同様に、取引の現場では接触などに最大限の配慮が必要となります。対面形式での交渉や受け渡しの自粛が求められるなか、以前よりも流通が減ってしまうのは仕方がないことです。ケヤキが媒体となって感染が広がる可能性もゼロとはいえないため、買い控えを優先する業者が増えていくことが懸念されています。住宅の建築工事の減少に合わせて、消費量が著しく減っていることも無視できません。
コロナウイルスが直接的にケヤキに被害をもたらすことはありませんが、伐採から出荷までの工程に携わる人が減ることで、間接的に生産性を低下させてしまいます。また、コロナウイルスの騒動が終わりを迎えても、ケヤキの取引状況がすぐに回復するとは限りません。長期に及ぶことも想定したうえで対策を講じることが重要です。

 

 
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