葛飾区における木材市場の現況(令和2年 2020)
東京都内では、林業や製材業の衰退がすすんでいます。これは都の東部に位置している葛飾区においても例外ではなく、少数の木材加工業者が近隣の地域で採取された木を加工し、資材として自ら販売をしたり、他の区にある木材市場に卸したりしているのが現況です。販売された木材は、新築住宅の建設時や既存の住宅の増改築を行う際に用いられます。
葛飾区で製材業の衰退がすすんでいる理由は、少子高齢化の進展や業界に抱かれているイメージなどによって担い手が減少していることや、海外から木材が大量に輸入されるようになったことなどが挙げられます。昭和中期頃までは住宅の新築が相次ぎ、葛飾区内に限らず東京都全体で木材の非常に需要が高く、品物さえ用意することができればすぐに市場で売ることができましたが、時代が移り変わって国内の問屋や製材業者を通さずに外国から安価で質の良い資材を輸入する業者が増えてきて、販路の維持・拡大のためには企業努力が必要な時代になりました。葛飾区内の木材加工業者も決して手をこまねいているわけではなく、様々な努力が重ねられていますが、衰退を食い止めるまでには至っていません。
日本国内の様々な地域では近年、地元の山々から伐採してきた木やそこから加工した木材をブランド化して価値を与える試みが行われていますが、海外に多くを依存している状況に変わりはありません。2019年12月に竣工した国立競技場では日本国内で伐採されて加工された木材がたくさん使用されていることが報道されましたが、実際に国産材が使用されているのは屋根やひさしなどの見える部分だけで、基礎の部分は東南アジアの熱帯地域から輸入してきた資材でつくられています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって開催予定が2021年に延期となった東京オリンピック・パラリンピック関連で、葛飾区の木材市場はあまり恩恵を受けられなかった可能性があります。