清須市における木材市場の現況(令和2年 2020)
愛知県は森林資源が豊富な地域で、県の中心部から北西部にかけて良質なヒノキの柱材が取れた事から昔から林業が盛んでした。戦中に空襲で日本全土が焼け野原になり、その復興のために大量の建築用の木材が必要になり、愛知県の清須市でも木材市場が活況となり、加工場が大量に作られました。戦後復興期から高度経済成長期までは、住宅用の木材需要が多く、林業関連の労働人口も多かったのですが、木材建築の需要減や海外から安価な輸入木材の増加で木材価格は急落しました。それに加えて、無計画な伐採を行った事で、住宅材として加工できる成長したヒノキが減り、さらに林業従事者の高齢化に伴い清須市の木材市場は衰退しました。そのため森林が管理されず、里山で働く労働人口が減り、野生生物が農地まで降りて来て農作物の被害が増加しました。さらに山林の管理が十分に行われなくなった結果、木材が大きく育たなくなり、大雨による地滑りなどの自然災害が増加しました。そういった野生生物の農地の食害や地滑りなどの自然災害を減らすために、愛知県では1960年代後半からヒノキやスギの人工林の増設のために植林が行われました。その結果植林から50年以上経った、令和2年の現況では本格的に加工して出荷できるヒノキやスギ材が育っています。2000年以降開発途上国の木材需要の増加や、環境対策のためのバイオマス発電事業の拡大や、林業資源の供給不足により建築用の高価な物だけでなく、安価だったバイオマス用のチップも価格高騰しました。それも追い風になって、愛知県清須市の木材市況も徐々に活況を取り戻しつつあります。人工林を持続的に生産し続けるための循環型林業にも力を入れていて、伐採して出荷された木材と同じ量の植林も行われるようになりました。これから木材事業で働こうとしている人へ、循環型林業に必要な知識や技術の指導を行ったり、新規で事業者に対して助成金も出す事も積極的に自治体が行っています。