東伊豆町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

東伊豆町はその名前のとおり、相模湾に面する伊豆半島の東海岸寄りにあり、西部は天城連山の高峰が連なっているため、地形的にはなだらかな丘陵をなしています。静岡県内でもつるし雛などの豊かな民俗財産や多様な温泉街などに恵まれており、基本的には観光がメインの町ともいえます。特に稲取高原ではゴルフコースやクロスカントリーコース、動物園などの多様なレジャー・アミューズメント施設が集まっており人気があります。産業構造をみてもこれらの観光需要にこたえるための第三次産業従事者の割合が80パーセント近くを占めており、伝統的な第一次産業としてきこえた漁業や林業、そして農業をすべてあわせても10パーセント未満となっており、現況はなかなか多難なものがあります。東伊豆町全体に占める森林面積の割合はおよそ70パーセント近くになりますが、林家数は全国的な高齢化や過疎化の流れもあいまって減少を続けており、目下のところ林業を専業で経営するものは皆無の状況です。したがって木材市場の現況で特筆すべきものはありませんが、地域の資源の再生を図るべく、林道の開設や改良、定期的な森林の間伐などの事業が進められています。町内の人工林は樹種としてはヒノキが主体でスギがこれに次ぎ、一部にマツやカラマツなどもみられます。マツに関してはマツクイムシによる被害が深刻ですので、地上散布および伐採駆除の両面からの対策が行われています。近年のトレンドとしては木質バイオマスなどの新しい林産資源の活用方法を模索する動きや、あるいは稲取高原に代表される森林レクリエーションの拠点としての再生整備などが知られます。このような新たな利活用のなかでは従来からのヒノキ主体の針葉樹林よりも、むしろ地域の特色ある資源のひとつにあたる広葉樹林のほうにスポットがあたる傾向がみられており、木材市場の今後を占う上ではこの分野をひきつづき注視しておくことも重要性があります。

 

 
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