川根本町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

川根本町は総面積がおよそ500平方キロメートル、かつて東海道の難所といわれ流量の多い大井川の上流に位置する人口8000人ほどの町です。地元の名産として栽培されている川根茶、あるいは寸又峡の美しい自然環境などが自慢であり、観光目的で来訪する人たちも多くみられます。このように観光資源には比較的恵まれた面がある川根本町ですが、山あいにあるだけに過疎化や高齢化が進行している事実は否定できず、かつては市内の中心的な産業だった林業の分野でも林家数の減少や後継者となる若者の流出などの課題があります。したがって木材市場の現況をみても価格低迷などのネガティブな要素が目立ちますが、基本的に市内各所で林道が整備されていて島田市や藤枝市、静岡市などの市場にも規格的近い地の利はあるため、他の山間地域と比較すればまだしも優位性を確保できるものといえるでしょう。川根本町のエリアにある森林面積はおよそ46000ヘクタールとなっていて、これは森林率とすれば実に90パーセント以上の高い割合となります。町の森林基本計画の対象となっているエリアに限っていえば、スギやヒノキといった樹種が大勢を占める人工林が14000ヘクタールもあり、ほとんど成熟していて木材として出荷するにも適齢と考えられるところから、積極的な利活用が待たれています。木材市場の活性化に向けての課題はいくつかありますが、ひとつに少子高齢化社会の当然の帰結ともいえる経営体の弱体化に対しては、たとえば集約化で経営体力を強化したり、あるいは公共建築物への地元材の活用を進めることで需要を喚起するなどの対策が打たれています。また川根本町にかかわる新しい動きとしては、薪などの木質系燃料を使用するボイラーやストーブなどの普及促進に向けた行政の補助事業がスタートしていること、環境にやさしい森林認証制度を活用した森林管理を行う民間団体が誕生したことなとが挙げられます。

 

 
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