岐阜県の栗(の木)の取引状況(2019)

 

岐阜県は四方が陸地に囲まれている県で、79.1%もの森林面積を誇る自然の豊かさに特徴があります。
また、岐阜県は木の木の国、山の国として森林を守ったり、大切に取り扱っていることでも知られます。
森林で見られることの多い種類は、広葉樹だとブナやコナラで、針葉樹だとスギやヒノキが中心です。
県の木はイチイですから、木々に恵まれる岐阜県だと、栗はマイナーな扱いだといえるでしょう。
和菓子の栗きんとんは有名で、全国で5本の指に入るほどの消費量がありますから、食材の取引状況は活発です。
また、栗の木をモチーフとしたお菓子も古くから存在しますが、本物の栗の木はあまり積極的には流通していない取引状況です。
そもそも、栗の木は全国的に分布していますから、特別珍しいものではなく、希少性もあまり高くないのが実情です。
しかし古くは奈良時代から建材などに加工して使われていて、岐阜県には主要部分が栗材で構成される世界遺産があります。
加工は難しいものの粘りや耐朽性があって、長期的に腐りにくく寸法安定性が優れているなど、まさに構造物に最適です。
橋梁や木造家屋では古くから使われていますし、浴室用の需要も存在します。
このように、決して用途がない木材ではなく、むしろ地元の建物などで広く使われていますから、主に地産地消の形で岐阜県広域に供給されます。
県外に対する流通量もゼロではないですし、木材を供給する基地として、関東や関西地方に供給している取引状況があります。
岐阜県は、県の森林組合がシステム的な販売に取り組んだり、中日本の広域で連携して、原木の安定供給の仕組みを構築しています。
いくら森林の面積がトップクラスだとしても、肝心の供給体制がなければ、取引状況を改善するのは困難です。
ただ、取り組みが実を結び供給量の増加や安定化が見られれば、栗の木の取引状況は変わっていくと考えられます。
もっと栗の木の特徴や魅力が広く知られるようになったり、需要が増えて流通コストが下がることで、岐阜県産はより身近なものになるでしょう。

 

 
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