埼玉県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

埼玉県の森林面積は121,260ヘクタール、県土の約32%が森林、県土保全・水源のかん養・保健休養など人々の生活に良い影響を与える重要な役割を持ちます。埼玉県の森林が多い地域は主に秩父市などの山間部エリアで、県の西側に集中しているのが特徴です。江戸時代から続く、西川林業地として有名な飯能市の人工林率は80%と高くなっており、天然林率が高いのは中津川見有林に広域にわたり分布しているなどの特徴を持ちます。

 

埼玉県の森林の所有形態は、国有林10%で民有林90%の割合になっており、民有林には私有林や市町村有林や県有林などが含まれます。これらの森林に蓄えられている立木の面積は約3,460万ヘクタールで、山地や丘陵などではスギ・ヒノキなどの樹種の成長に適しているといいます。そのため、これらの地域に植林した樹木は、民有林のうち人工林の割合は全国平均46%を上回る53%に増加しているといいます。

 

埼玉県の木材の取引状況では、人工林の約8割が木材として利用可能な状態に達しているなどからも活性化が行われている印象が強いようですが、木材価格の低迷なおにより伐採が行われる人工林自体が少ない、再造林される面積が少ないなど深刻な状況を持つ森も少なくありません。これは森林の高齢少子化とも呼ばれている現象で、高齢になると二酸化炭素の吸収能力が著しく低下するなどからも森林の再生が必要な段階に入っているわけです。

 

埼玉県の中ではマツ林も多くあり、その中には栂が植栽されている森も少なくありません。ちなみに、埼玉県の中でも東京都・山梨県・長野県との県境にある奥地の森林は、シラビソ林・オオシラビソ林・コメツガ林などの原生林が広がっており、こうした森林に近い場所にある人工林は手入れが遅れてしまうなどの理由で荒廃が危惧されているようです。尚、埼玉県の木材供給は一時期大きく減少したものの、現在ではほぼ横ばい傾向といわれています。

 

 
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