長崎県のケヤキの取引状況(2019)
長崎県は離島の多さが特徴的であるものの、その総面積の60パーセントを森林で覆われている県でもあります。
その主な理由は海に面しているからです。海が近い土地では風による被害を防ぐために防風林が配置されており、長崎県も防風林の存在を大切にしています。もちろん土砂災害を防ぐことを目的にした土砂流出防備保安林、水害を軽減させる水害防備保安林など他にも様々な人工林はあるものの、そのほとんどは針葉樹です。
すなわち落葉高木、もとい広葉樹に分類されるケヤキの数は圧倒的に少ないと言えます。
実際に長崎県で主に取引される樹木は杉と桧で、どちらも手に入りやすいうえに加工しやすいメリットのおかげで長崎県における木材市場の支えになっているほどです。反対にケヤキは先述したように広葉樹自体の数が少なく、ほとんど市場に出回っておらず、筑波銘木市場のように専門的にケヤキを扱う市場も特にない状態であります。
そのあたりの現状は県が管理している森林の総数を見れば一目瞭然です。
県が提示する森林管理署のデータによれば針葉樹は75など二桁を超えた数値であるのに対し、広葉樹は2といったように一桁の数値を叩き出しています。樹木別になると桧は2000以上というトップクラスの数字ですが、ケヤキは種目別では個別に分類されておらず、その他類にまとめられているのが現状です。ちなみに県における数が多い広葉樹は樫となります。
いずれにしても肝心の取引状況はその生産量の少なさから分からないというのが実際のところです。
近年韓国などの海外における出荷が市場の維持及び利益に繋がっているものの、それを生み出している木材は使いやすい建築材となっています。ケヤキは最良の広葉樹と言われていますが、その重硬さから扱いにくい木材とされているのが現状です。しかし近年の自然災害から耐久性に優れた木材、ひいては地震の揺れを緩和できる木造住宅が見直されています。2019年時点では好転の兆しがないケヤキですが、今後の展開によっては違うかもしれないです。