山口県の赤松の取引状況(2019)
山口県の林野面積は439千ヘクタール、総土地面積611千ヘクタールの約72%を占めます。また、林野率は全国平均の67%を上回っているなどの特徴を持ちます。山口県の林業における経営形態および森林面積は、民有林が97%を占め国有林は3%、私有林は85%と高い割合です。市町村や財産区などの森林面積は12%で県行造林および県有林は僅か1%しかなく、大半が私有林であることがわかるのではないでしょうか。
山口県の民有林の樹種別面積および蓄積量は、針葉樹が57%で広葉樹が40%、竹林などが3%で針葉樹は杉が16%・ヒノキ20%・赤松などのマツ科の木が21%で赤松などの割合が高めです。蓄積量は針葉樹が82%で広葉樹が17%、針葉樹82%の内訳としては杉が41%と最も多く、続いてヒノキの24%とマツ科の18%と続きます。赤松の取引状況は樹種別面積が21%であり蓄積量が18%などの数値からも活性化が行われていることがわかります。
山口県の造林面積は昭和36年頃に9,263ヘクタールのピークを迎え、以降は減少傾向を持つといわれています。造林樹種は主に杉やヒノキで、樹種は昭和52年頃までは赤松などのマツ類が主流でしたが少しずつ広葉樹へと移行が行われているなどの理由からも、赤松自体の取引状況も低くなっているようです。
赤松などのマツ類は松くい虫の被害を受けやすい樹種で、昭和50年頃には138,234ヘクタールのマツ林も、昭和54年の松くい虫の被害ピーク以降は年々松林から他の樹種の生産地に移り変わっています。平成22年度においてのマツ林が88,359ヘクタールまで減少しているのも、松くい虫の被害が影響しているわけです。被害のピークになった昭和54年頃は予防策を図るなどして赤松や黒松の防御策を講じていたものの、平成20年以降は松くい虫防除事業も衰退し始めており取引状況にも影響を与えているのではないでしょうか。