石川県の杉の取引状況(2019)
石川県の県土の約68%を森林面積が占めており、能登地域・加賀地域などでもよく見られます。特に内陸側が豊かな山間部が広がっており、県の東側に主に森林などの樹木が生い茂る地域が広がっているのが現況です。
森林面積は28万6千haとなり、そのうち民有林が25万2千haで戦後の復興のために住宅などの建造物で木材が必要とされたことで、植栽が広く行われ森林面積が拡大した経緯も見られます。実際に石川県内で植栽を推進した結果に基づく人工林率は約9万9千haとなり、約40%に及んでおります。
もっとも人工林で杉の占める割合は約71%であり、数ある樹木でも一番よく育成されている樹木になっています。当然に材木の取引状況においても県内でも首位を占めるのは確かで、杉を有効活用しさまざまな建造物や製品等を産み出しているのも事実です。
杉は戦後に植えられたものが60年以上経過したことで、住宅の柱や梁などの箇所に利用できるほど育っており、近年は石川県産も見直されています。もっとも戦後の復興需要で材木不足が指摘され、高度経済成長期には海外の安価な木材が輸入されており、取引状況の中でも国内産の材木価格が減少傾向となっています。
それに伴い、林業の衰退を招いたのですが、石川県でも同じような傾向性が見られたのも事実です。ところが近年は良質な杉が育ったこともあり、石川県産の杉も見直され平成23年度にはいしかわ森林・林業・木材産業振興ビジョンが策定されております。
そのビジョンでは4つの重点戦略が打ち出され、その中身は「森林の多面的機能の発揮」、「林業の再生」、「木材産業の振興」、「里山資源を活かした山村の振興」です。杉の供給量に関しては平成15年以降は増加基調となっておりましたが、その策定が行われてよりさらに加速して安定供給を実現するに至っております。
平成15年度が50uであったのが、近年は130uまで供給量が増加していることもからも石川県内でも杉の材木利用が推進され、取引状況も好転されているのを見ることが可能です。