ウクライナの木材市場の現況(2019)

ウクライナは、ロシアから独立した国です。ウクライナの国土は16世紀からヨーロッパの穀倉地帯として広く知られており、19世紀以後は産業の中心地帯としても大きく発展していますがその一方で自然豊かな国でもあります。
ウクライナの国土のほとんどが肥沃な平原・草原・高原で占められており森林面積も豊富です。実に日本の1.6倍にも及ぶ面積を有しています。国土面積6,037万ヘクタールのうち976万ヘクタールが森林となっており森林率は16.5%で林種構成はこのうちヨーロッパアカマツなどといった針葉樹林が42%のほかナラなど広葉樹林が43%、灌木林が15%です。ウクライナ北部のベラルーシ国境沿いに広がる低地に森林が多く残っていることが特徴です。
ウクライナの木材市場を見た場合には、古くからヨーロッパアカマツの栽培が盛んに行われており多数の木材加工品が生み出されています。ヨーロッパ随一の規模と資源の豊かさを持つヨーロッパアカマツは品質も良く、現況でも世界中の木材市場で取引されています。
森林の所有に関しては97%までが国有となっており、そのうち7割が林業生産用途に供されている国有林野です。国有林管理を行う地方組織には地域局・営林署・狩猟区・自然公園等などがあります。
遺伝資源の保存に関しても積極的です。野外に設置するクローンバンクとしてヨーロッパアカマツ他6樹種について保存さ
れており、未来に残すための取り組みを行っています。
ただ、マイナスになっている部分がないわけではありません。その理由は、放射能汚染です。ウクライナ国内にはチェルノブイリ原発があり、事故によって放射能に汚染された地域が今もなお残っていることも事実です。今もなお原発からかなり離れたところに自生するキノコやシダ植物の中に、原発事故によって放射性セシウム濃度が高いものが多く見られます。
このため、林業活動のおいての放射能対策に対する各種取り組みは政府が国をあげて行っています。それだけではなく、木材などといった林産物の許容値も、素材・製材品・国内流通品に分けて細かく設定して最大限影響を出さないように管理しています。

 

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