南アフリカの木材市場の現況(2019)

南アフリカの木材は、古くは薪・炭としてや生薬などに用いるタンニンの抽出材料に利用されていました。現在の輸出用木材は、その多くが植林で賄われています。南アフリカで植林が開始されたのは、17世紀後半のことです。ヨーロッパ人たちが母国から持ち込んだ松(針葉樹)が、南アフリカの広大な土地に植林したことが始まりとされています。19世紀中頃になるとユーカリの木が持ち込まれたり、自国のサバンナ地帯で群生するアカシアなど広葉樹の植林も開始されました。
南アフリカの木材市場が活発化したのは、1920年代のことです。炭坑作業をはじめとした事業に用いる材であるユーカリの植林を政府が推奨したため、植林面積が加速度的に広がり始めました。時代が以降するにつれ世界中でパルプの需要が高まったため、植林される木材がパルプ材へと変化していくこととなります。現況は南アフリカ全体の植林地で生産される原木のうち、約3分の2がパルプ材用途で輸出されるものです。
現在の南アフリカの植林地面積は、国土面積122万平方キロメートルに対して約1.1%の1万3500平方キロメートルにまで拡大されており、世界でも有数の植林先進国として知られています。日本が南アフリカから輸入している主な木材は、紙・パルプの生産に用いられる木材チップです。製紙以外にもガーデニングや農地など幅広い用途で使用される木材チップは、年間国内生産量である約540万トンでは足りません。供給量の約70%近くを輸入木材に頼っており、その総数は1200万トンにも登ります。オーストラリアから約430万トン、チリからは約240万トンという輸入量に次いで、南アフリカからは約150万トンもの木材を輸入しています。
パルプ材として用いられる木材ほど大量ではないものの、高級材ムニンガも同国からの輸入材の1つです。乾燥が遅いものの収縮が少なく狂いがほとんどないため、装飾的な床材に用いられるなど非常に優れた材です。

 

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