オランダの木材市場の現況(2019)

オランダは各家庭の窓枠などが木製だったり、建築や様々なところで木材を使う国です。木材市場も活発な印象を持っている方も少なくありませんが、今後は縮小していく可能性も考えられます。というのも、オランダは非常に環境問題に敏感な国で、他国に対しても自然保護について訴えているほどです。森を伐採するということは、自然保護に相反することもあり力を入れていくとは考えにくいです。例えば、オランダ領であるキャラソー島は元々木材の産出地として栄えていました。しかし、キャラソー島は今では観光地として人気を集めている場所です。沿岸の椰子の木も伐採用ではなく、貴重な観光資源とされています。以前は木材を目的とし木が多い場所でしたが、国立公園内にはサボテンが多くなっています。
さらに、オランダが加盟しているEU自体も違法な木材を摘発する動きがあることにも注目すべきです。ワシントン条約を守るために、野生植物を伐採したり輸出入することに関しては反対という姿勢を貫いている傾向があります。輸入する際も、相手国の環境保護に影響をもたらす可能性があるときは契約を破棄することも珍しくありません。今後も木材を目的に木を植えたり、森を伐採することが盛んになることはないでしょう。必要最小限の中で、自然と共存できる範囲での市場になる可能性が高いです。
領土としているキャラソー島などは、熱帯気候で本来は木の質はあまり良くないのが現状です。マカボニーなど高級品種もありますが、全体で考えると無理に経営しても利益を上げることは難しくなってきます。利益を考えるなら、かなりの面積を営林する必要があるというのが現状です。熱帯植物自体が環境に非常に大切な存在であることが、EU諸国で認識され始めています。こうした現況を考えると、営林の規模をこれから拡大したり森を切り開いていくというのは今後あまりないと考えられます。一方、出回る分が減るため単価は高くなる可能性も考えられるでしょう。その場合、オランダだけではなくEU全体に注目して考えることが大切です。

 

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