モンゴルの木材市場の現況(2018)

156万平方キロメートルと日本のおよそ4倍の広大な国土面積を持つモンゴルの主力産業は、その広い大地から採掘される石炭や銅、モリブデンなどの豊富な鉱山物、カシミヤや羊毛、毛皮などヤギやヒツジによる製品がモンゴル経済を支えています。モンゴルの木材も経済に大きな影響を与えていますが、モンゴルの森林は北部のロシア国境沿いに集中しており、道路インフラが発達していないためアクセスが困難な森林が多く針葉樹林と広葉樹林1420万ヘクタール程度で、ゴビ砂漠にある潅木林のおよそ460万ヘクタールを合わせても国土面積の12パーセント前後と、森林資源は非常に限定されていることが実情です。しかもその多くが保護林に指定されており、伐採が許可された商用林はおよそ300万ヘクタール程度しかありません。その300万ヘクタールで伐採されている木材はカラマツとシベリアマツが森林資源全体の80パーセントを超える伐採量で、主な用途は国内消費用の薪と丸太の生産と、モンゴル木材市場の中核を担っています。木材市場に関わる企業はおよそ600社あり、ゲル用の建築材料を始めとして家具や建具などを製造しており、そのほとんどは国内消費です。木材の伐採量が少ないため原木の輸出はごくわずかですが、ロシアや中国、日本が主な輸出先で、日本では割り箸やまな板の原料となっています。以上がモンゴル木材市場の現況ですが、今後の課題として森林資源の減少を食い止めることが重要です。モンゴルの森林面積は、過去10年間でおよそ10万ヘクタール減少していると言われており、首都ウランバートル周辺の地域では道路インフラが整備されつつあることにより森林へのアクセスが容易になったことから、市場計画に沿わない過剰伐採や違法伐採が多くなっているため森林管理局による管理体制の早期確立が期待されているとともに、モンゴルの木材市場の活性化に向けて、害虫被害の減少と木材加工技術の向上が望まれています。

 

トップへ戻る