チリの木材市場の現況(2018)

南北に細長い国として日本でも知られるチリは、国土の約20%が森林です。
森林面積のうち約25%ほどが原生林で、1974年に施行された法律により人工造林も積極的に行われています。
そのためチリの森林面積は増加傾向にあり、木材市場も活況です。
チリの木材市場の現況は、最新の調査によると海外輸出が盛んです。
国内で伐採された木材の多くは海外向けに輸出され、国の主要な産業の一つとして成り立っています。
輸出を主に担っているのは大手2社で、両者が木材輸出の約70%を占めています。
チリから輸出されている木材の種類は、ラジアータマツとユーカリです。
ラジアータマツは積極的な人工造林によって増えており、国内では数多く生産されています。
天然林から伐採した木材はエネルギー用に、人工林で伐採されたラジアータマツやユーカリは海外や国内の木材市場に、というのが一般的流れです。
しかし海外木材市場でのシェアが拡大するとともに、供給不足も指摘されています。
現況ではチリ材は慢性的な品薄状態に陥っており、木材市場に十分な量を供給できていません。
また産地での価格は高騰する一方、木材市場の販価は伸び悩んでいます。
アンバランスな状態に陥っているのが、チリの現況と言えるでしょう。
アンデス山脈の西に位置するチリは、日本と同じく山が多く森林面積も多い国です。
そのため林業を主要な産業に育てるという政策を政府はとり続けており、現在では鉱物に次ぐ主要な輸出分野となります。
現在でもラジアータマツを中心として人工造林が積極的に行われており、また零細農家へ補助金を支給して林業への転換を図っています。
さらに農家に対する補助金は、砂漠化する土地に対する造林や復旧緑化に防風林の造成などにも行われるようになりました。
林業は産業の育成とともに、環境保全のためにも積極的に行われているのが現況です。
今後も世界の木材市場では、チリの存在感は増していくと考えられるでしょう。

 

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