クック諸島の木材市場の現況(2018)

クック諸島は現在ニュージーランドと自由連合関係にある諸島であり、主権国家と同等の権利は有しているものの国連には加盟しておらず、ニュージーランドに依存する面も強いため独立した国家であるか否かは賛否の分かれる場所です。

 

その木材市場の現況についてですが、国際的に大きな影響力を有しているとは言い難い状況にあります。その理由は、国として規模が小さいが故に輸出、輸入共に規模が小さく、輸出は4000万ドル弱、輸入は1億5000万ドル弱。決して大きい額とは言えず、また輸出入のいずれについても木材の占める割合は小さく、輸出についてはデータに出ないほど少なく、輸入に関してもわずか200万ドルほどにとどまっている現状です。

 

その背景にあるのが島国という地理的環境です。小さな島々の集合体である上に構成する島のほとんどがサンゴ礁からなる島、あるいは火山島であるがゆえに密林のような地形はほぼないに等しく、植物として高木の類はありません。ただし、海岸の多い性質上ヤシやパパイヤといった植物は比較的豊富に生育しています

 

では木材市場について、なぜ輸入に関してわずか200万ドルほどで済んでいるのか、という点に関してですがこれには二つの要因があります。
一つは単純にヤシの木による自給自足が可能であるということ。ヤシの木は木材としてあまり優秀とは言えないため輸出に回されることはありませんが、それでも資材には十分に利用可能であり、クック諸島においては建材として必要な木材やメインの産業である漁に使う船作りのための木材にヤシを歴史的に使用している、と記録されており、輸出の60%は漁業によるもので占められています。

 

もう一つは歴史的背景です。クック諸島はイギリスの保護領、ニュージーランドの属領という比較的恵まれた国による保護が続いてきた関係上市街地の整備や非木造建築が進んでおり、上質な木材を必要とする場面が比較的少ないのです。

 

以上の理由より、クック諸島の木材市場の現況はほぼ自国内完結型であり、国際経済に大きく関わってはおらず、またそうなる可能性も低い、と結論付けます。

 

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