広島県の木材市場の現況(2018)

近年の異常気象や地震の多発で日本各地が被害を被っているなか、とりわけ大きく被災したのが広島県とその周辺地域です。数十年に一度という豪雨で山が崩れて住宅地が崩壊し、なおかつ川が氾濫したことによって市街地が浸水して甚大な人的・経済的ダメージを受けました。まだ復旧の途上であり、大量の物資を必要としているために当然建築資材も多数必要としているのです。なかでも、住宅に必要な木材は相当に需要が高まっていますが、これには理由があります。まず、建物の基礎部分は住宅の場合たいてい木の柱で成り立っているもので、床上浸水を受けてカビが生えたり腐ったりといった住宅が多いことが挙げられるでしょう。家が倒壊していなくても、実質は建て替えという住宅は広島県全体で多数にのぼります。そのため、これを補うために大量の木材が必要となってくるのです。それだけではなく、土砂崩れや地滑りによって木の生えている山自体が大ダメージを受けており、近隣の木材をあてにしづらいという現況も拍車をかけています。そのため、広島県の木材市場はかつてないほどに大きく動いており、今後も目が離せない状況と言えるでしょう。さいわい近県には豪雨被害が少ない山陰地方や近畿地方があり、また輸送路も比較的早く復旧したために順調に木材の搬入は進んでいます。仮設住宅の建設には木材が指定されているため、現況ではそれらがとくに不足し需要が急騰しているということが言えるでしょう。これはある程度一時的な特需だとも言えますが、豪雨や浸水の被害は甚大であり今後何年もかけて町や家を修復していくことを考えると当分の間木材市場の活況は止まらないと考えられます。市場の動きだけではなく、地滑りなどで崩れてしまった山を復活させてふたたび林業が行えるようにする、そういった方向に目を向けることも必要になってくるでしょう。そのための施策が林業関係者や自治体に求められる対応とも言えます。

 

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