淮北市(中国)の木材市場の現況(2019)

淮北市は中国安徽省北部に位置する都市で、人口およそ212万人と安徽省に16ある市の中で13番目に少ない人口です。面積は日本の香川県の1.5倍近くもありますが中国の中ではかなり小さな市で、市内には空港が無く、高速道路も通じていないことから経済的に豊かな市とは言えません。安徽省全体では鉄鋼や石炭など第2次産業の占める割合が高く淮北市でも同じく鉱業が中心です。農業など第1次産業は主に食糧と綿の生産が中心で市の経済に貢献しているというまでには至りません。林業については山間部は多いものの、長年の計画性の無い森林伐採の影響から環境破壊が深刻化しており、植樹による森林環境の回復が現在の命題です。森林面積はおよそ24000ヘクタールありますが人口植樹された樹木以外の自然の樹木はほぼ存在せず、植樹されている樹木は、元々淮北市を始めとした安徽省の山々に多くあったブナ科コナラ属の落葉樹「アベマキ」、ウルシ科カイノキ属の「カイノキ」などを中心としています。淮北市の土壌は主に黒土であることから、樹木の育成に適しているとは言えないため、黒土でも育つような樹木を選んで植樹しています。アベマキはクヌギに良く似ている樹木で、住宅や家具には使用されることは少なく、主に薪や製紙用チップなどに用いられます。カイノキは中国では種子が採油原料になるとともに、木の組織自体が硬くきめが細かいことから家具や建築、彫刻用として広く使われています。このような現況から淮北市の木材市場は活発であるとは言い難く、目立った実績はありません。淮北市は鉱物資源の埋蔵量が大変豊富で、確認されただけでも石炭や鉄、菌、石灰石など、中国国内でもトップクラスの生産量であるため労働者も鉱業に従事する人が多く、林業や木材加工に従事する人はごくわずかです。このため、今後も木材市場の活性化はあまり期待できないと予想されます。しかし、輸入木材による木材加工はわずかながら増加しているため、木材市場と連携した企業と人材の育成が必要となっています。

 

トップへ戻る